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変わらぬ南山の伝統を、
75周年の先へ

[南山大学第8代学長]ロバート・キサラの写真 [南山大学第8代学長]ロバート・キサラの写真
[南山大学第8代学長]ロバート・キサラ

1946年、戦争直後の混乱の中で、世界舞台で活躍する人物を育て日本の国づくりに貢献するため、 アロイジオ・パッヘ師が南山外国語専門学校を設立し、その校長となりました。その翌年の学校教育法の施行に基づいて、1949年に専門学校が大学に発展し、南山大学が生まれました。大学の誕生を記念する「大学開学式典」で南山学園の教育モットーである「人間の尊厳のために」が発表され、南山での教育の目的がここに明確となりました。

 第二次世界大戦後、「人間の尊厳」という概念が広く注目されるようになりました。たとえば、1945年、サンフランシスコで調印された国連憲章前文に「人間の尊厳」が戦争の惨害から将来の世代を救うものとして認識されています。すべての人は平等にかけがえのない価値を持ち、その価値が守られている社会の構築こそ戦争を人間の歴史から消すカギである、という認識で、戦後に生まれた南山大学の存在理由が表現されています。南山学園の「寄附行為」では「人間の尊厳を尊重かつ推進する人材の育成を 目的とする」となっています。

 本学の前身である南山外国語専門学校の設立から75年経た現在においてもその存在理由に変化はありません。かえって、現在の世界の状況を見渡すと「人間の尊厳を尊重かつ推進する」ことがますます必要であると確信しています。そして、専門学校の時代からの使命を引き継いだかたちで、多様な社会の中で活躍できる人材の育成を通して、私たちは今でも南山の目的に沿ってよりよい世界へ、つまりすべての人のかけがえのない価値が守られている世界構築への貢献をしようとしています。いつの時代も変わることのない、南山の伝統―多様性を受け入れ、他者も自身も大切にする心―を、75周年の先へ続く未来へしっかりと繋げていきます。

 創立75周年を迎えるにあたり、様々なイベントが計画されています。4月のキャンパス内でのキックオフ・イベントで始まるこの記念すべき 一年を通して南山の歴史を思い起こし、75年間の成長を感謝しながら、私たちの目的と理念への献身を新たにしたいと思います。

  • 大学創立75周年プロジェクト
    実行委員長より

    大学創立75周年プロジェクト実行委員会
    委員長 Jakub RAJCANI

人間が2本の手を持つのは、1本で掴まりもう1本で掴み、1本で助けられもう1本で助け、1本でもらいもう1本で差し上げ、1本で過去を探りもう1本で未来を指すためだと思います。真の成長のためには、今までのことを土台とし、それにしっかりと根付くと同時に、これからのことに目を凝らして歩むことが不可欠です。どちらかが欠けると全体が崩れてしまいます。

 75周年は確かに中途半端な記念と言われればそうですが、それにも大きな意味があります。50周年から100周年までの間が逆に長過ぎて、学生のことは言うまでもなく、教職員も1世代を超えてしまうため、前の記念を覚えている人も次の記念に繋いでくれる人もいないという状態になります。そう考えるとやはり75周年はちょうど仲立ちをするもの、息継ぎ、繋ぎ目のようなものなのではないでしょうか。

 パンデミックの只中にいてもなお、大小にかかわらず、力を尽くして今ここでできることを目指し、教職員と在学生と同窓生とが力を合わせて様々な企画を通して、この大学を盛り上げていくことができればと思います。